住まいの情報 |
通信革命は生活革命 |
インターネットなどによる通信革命の到来は、私たちの生活を根底から変革することになると考えられ、地域分散型の都市形成をしていくことはおよそ理解の出来る状況になってきた。札幌、仙台、東京、大阪、名古屋、北九州の圏域が核となり、少し広域の衛星都市が発達する形態が明確になる。交通で結束していた都市間のアクセスが通信が加わることで広がってくる。かといって無制限に拡大するのではなく、時折、相互の結節点でフェイストゥフェイスの会合が可能な距離に分散する。たとえば東京と甲府、静岡、宇都宮、水戸など近郊都市とは言えないが、ネットワーク都市を形成することになる。 ここまで都市機能が拡散すると、それに伴って居住も分散する。甲府や静岡を拠点とする生活の場で東京の仕事が出来るようになるし、職住近接で余暇の増加とエネルギーの無駄が省ける。打ち合わせも東京に頼らず、熱海や箱根、河口湖の保養地でと多様化する。たとえば甲府を拠点にすれば、居住地は隣接の韮崎市のみならず八ヶ岳の裾野すら範囲に含まれてきて、居住の可能性は無限である。 ファクトリーオートメーション(工場でのロボット化)、オフィスオートメーション(事務仕事の自動化)が先行し、それに加えてインターネットなどの通信革命により商品取引の自動化が進むことになる。店舗のない商取引が半ば当たり前になり、生産者と消費者が直接取引をする時代がすぐに来る。物流の自動化も進んでおり、居住地を選ばない環境が成立する時代も近い。
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農地を利用した住宅供給 |
田舎暮らしを望む願望の一つは、農作物の収穫である。農地の売買が困難な状況の中では田舎暮らしというとついつい別荘暮らしと思い違うが、別荘地には農地はない。そこで農地付きの別荘を提案する。 棚田の水田農家や丘陵地の畑を持つ農家では、大規模農家や海外からの農作物の流入で生産性の低下をきたしており、多くの場合農業従事者が高齢化しているため、継続的に営農を続けられない事情もある。そこで、こうした農地に隣接した宅地とセットのビレッジを開発することを提案したい。 宅地は建物が建ちさえすればいいので小規模に区分し、隣接する農地を借地することにより、全体としてはかなり広い敷地を確保することが出来る。農地は農地法により宅地化できない事になっているが、部分的に農用地になっていないところが間々あり、こうした宅地との複合開発で農地と宅地のセットでのビレッジ開発が可能になる。 現状では提案通りの販売物件情報はないが、今後、各方面で研究されて出てくることを期待しているし、情報があればご一報いただきたい。 現在、秋元建築研究所では「農地を利用した住宅供給」の一つとして山梨県白州町での居住者主導型プロジェクトの参加者を募集しております。詳細については下記のホームページをご覧下さい。 【参考】 白州コミュニティ・ビレッジ ホームページ
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過疎地という言葉 |
都市化の反意語として過疎化があるのだが、人口の増減を前提に取り扱われている用語であろう。何となく都市化は良くて、過疎化は悪いようにも受けとめられるが、よくよく考えると都市化も悪くて過疎化も良いようにもとれる。大都市になればなるほどインナー地区の問題は人口や産業の空洞化がクローズアップしてくるし、過疎地の農山村に都会からの転入者で新たな村おこしが始まるなど、一つの変化が新たな可能性を運んでくる。 こうした背景から、過疎化しつつある農山村に住むことは大いなる可能性を地区に与えることになるが、先住者への影響を与えるためにはコミュニティに参画できる元気のある内に転入することを奨めたい。居住は集団生活であり、ギブ&テイクであることを忘れてはならない。地区に貢献して後に包まれることが出来るのであり、老後を送るための転入では過疎地も歓迎できないことになる。人口確保のために節操のない人集めをしている自治体もあるが、居住者は必ずしも好感を持っていないことを知るべきである。
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